Acheilognathus typus (Bleeker, 1863)
二枚貝の中で育つタナゴ
体長約8cmのコイ科の淡水魚であり、日本固有種です。かつては北海道を除く関東以北に分布していましたが、今では東北の4県のみとなってしまいました。河川改修、埋め立て、干拓など都市化が進み、アメリカザリガニやオオクチバスなどの外来種の脅威もあり、生息域は狭くなり、個体数も激減しており、環境省は絶滅の危険性が最も高い絶滅危惧IAに指定しています。今では里山のため池や用水路で生きていますが、いつ絶滅してもおかしくない状況です。
ゼニタナゴの一生は約1年間です。9月 – 10月頃に二枚貝の中に産卵され卵孵化した仔魚(しぎょ)は翌年の5 – 6月まで二枚貝の中で過ごします。 その後、稚魚が孵出(ふしゅつ)し水草などが茂ったところに生息し、1 年で成熟して成魚となり繁殖を繰り返すというサイクルです。かつては諏訪湖や霞ヶ浦にも繁殖していましたが、産卵する二枚貝の減少も個体数を減らした一因であります。

参考文献
「守ろう秋田のゼニタナゴ」秋田市大森山動物園ミルヴェ 2025年2月8日閲覧
「環境省レッドリスト2020」環境省 (2020年03月27日) 2025年2月8日閲覧
大阪府立環境農林水産総合研究所 | 淡水魚図鑑(在来種)| ゼニタナゴ 2025年2月8日閲覧