Thunnus orientalis (Temminck et Schlegel, 1844)
マグロは休めない?泳ぎ続ける理由とは
最大で体長3m、体重400kg にもなります。太平洋の熱帯、温帯域に広く分布しており日本沿岸にも生息しています。獲物を追いかけて移動する回遊魚であり、日本では九州から太平洋側と日本海側に二手に分かれ本州の周りを移動していると考えられます。ですので季節によって産地が違い、秋冬は南で、春夏は北で水揚げされます。日本のマグロ消費量は世界一であり、漁獲高は世界第2位のマグロ大国です。本種は「本鮪」として流通し、寿司や刺身で食されます。
しかし、漁獲されるクロマグロのほとんどが未成熟魚であり、乱獲によって数を減らし一時はIUCNレッドリストにおいて絶滅危惧種「危急VU」となっていました。2021年の評価では「準絶滅危惧NT」に引き下げられましたが、どうして日本人はマグロが好きなのでしょう?実は江戸時代ではマグロは不味い魚とされていました。高級部位であるトロに至っては猫もまたいで通ると言う「猫またぎ」の名を付けられていました。当時は白身魚が好んで食べられ、脂の乗ったマグロは当時の日本人の好みに合わなかったのかもしれません。時代は変わり、洋食化が進み、日本人の好みは変化したこと、また冷凍技術が発達して生のマグロを食べられるようになったことで、さっぱりとした酢飯に合うコッテリとした赤身マグロの美味しさは瞬く間に広がったようです。
またマグロは油漬けにしたツナ缶も定番の食品です。ツナとは英語でマグロ属の魚のことを指しカツオ等も含まれます。その語源はギリシャ語で“突進”を意味するツナス「thynnus」を由来しています。その語源の通り、休むことなく、ひたすら泳ぎ続けるマグロは、泳ぎを止めると生きていけません。泳ぎながら口の中に海水を取り込みエラで海水に溶け込む酸素を取り込んでいるからです。夜間は泳ぐスピードを遅くして代謝を低くすることで睡眠の代わりにしているのです。
マグロの泳ぐスピードは巡航速度は時速7kmです。以外に遅いかと思われますが、抵抗のある水中であることを考えると驚異的なスピードです。水流を作った水槽における実験では時速50kmに達しています。瞬間的なダッシュ能力や長距離を泳ぎ続ける能力を考えると、マグロは最強のスイマーであると言えます。
参考文献
農林水産省 | 広報誌 aff (2015年8月号) | 特集 太平洋クロマグロの資源管理 クロマグロ食す・守る(2) 2025年2月2日閲覧
読売新聞オンライン | 太平洋クロマグロ、絶滅危惧種から引き下げ…資源回復で準危惧種に | (2021年9月6日) 2025年2月2日閲覧
IUCN | プレスリリース (2021年9月4日) | 海洋生物への圧力が増大しているにもかかわらず,マグロ類は回復しつつある- IUCNレッドリスト 2025年2月2日閲覧
クラシル | 記事 | 「大トロ」って昔は捨てられてたの?マグロと日本人の意外な歴史 | (2023年3月30日) 2025年2月2日閲覧
サライ | 下等な魚だった「まぐろ」が日本人の「ご馳走魚」に成り上がった理由 | (2016年11月29日) 2025年2月2日閲覧
アリナミン | 疲れの情報局 | なぜ、マグロは疲れないのか? | (2021年12月1日) 2025年2月2日閲覧
日本テレビ | 知識の宝庫!目がテン!ライブラリー | 世界初!(秘)マグロ 誕生 | (2007年1月14日) 2025年2月2日閲覧
松浦 啓一「したたかな魚たち」角川新書 pp.76 – 82, 92 -94