2000万年前の姿でいるバク

体長2m、体重150 – 320kg。南米大陸のコロンビア・ベネズエラからパラグアイ・ブラジルまで広く分布、低地の森林や水辺に近い藪地に生息しています。泳ぎや潜水が得意で外敵に襲われそうになると水の中に逃げ込みます。夜行性であり、昼間はのんびりしていますが、夕方から木の実、木の葉、果実などの餌を探し活発に行動を始めます。

アメリカバクは嗅覚に優れており、鬱蒼と植物が生い茂る森の中で臭いを嗅ぎ分けて行動しています。長い鼻先は柔らかく、ゾウのように餌を掴むこともできます。

ところでバクは2000万その姿、暮らしはほとんど変わっておらず、奇蹄目で最も原始的な動物です。現存するバクは5種でいますが、2013年に記載された新種「カボマミバクTapirus pygmaeus」はかつてアメリカバクと同一とみなされていた個体が別種とわかったものです。5種の中で最小のバクですが、21世紀に発見された哺乳類で最大の動物です。バクは東南アジアに生息するマレーバク以外は全て新世界(北南米)に生息しますが遠く離れた地域でバクが存在するのは何故でしょう。それはかつてヨーロッパやアジアにも広く生息していたバクの仲間がほとんどが絶滅し、生き残ったのが現存種が生息する地域だけだと考えられます。

バクは漢字で「獏」と書き、中国の伝説の生き物が名前の由来です。獏の特徴がバクに似ていることから名付けられました。獏が邪気を払うという伝説が中国から日本に伝わる際に、悪夢を食べると曲解されたため、バクは「夢を食べる動物」として広まりました。

2000万年もの間、変わらずに森の中でひっそりと生き続けたバクは今もひっそりと森の中で生き続けます。

水が好きなアメリカバク
鼻がよく効くアメリカバク

参考文献

エコチル | 【京都市動物園だより】以前は「ブラジルバク」と呼んでいた種「アメリカバク」 | (2023年6月12日) 2024年11月16日閲覧

エレファントーク | No.164 アメリカバク – おもしろ哺乳動物大百科 109 奇蹄目 バク科 | (2015年2月1日) 2024年11月16日閲覧

“Brazilian tapir” Animal Encyclopedia. Doublin Zoo 2024年11月16日閲覧

“What is a tapair?” Tapir Specialist Group 2024年11月16日閲覧

和楽web | なぜ夢を食べるのは「バク」なのか? 霊獣と夢のナゾを解説 | 馬場 紀衣 (2022年10月28日) 2024年11月16日閲覧

Coleman, Loren (2013, December 16) “Largest New Mammal Discovery of 21st Century: Fifth Species of Tapir” CRYPTOZOONEWS 2024年11月16日閲覧

Mario A. Cozzuol, Camila L. Clozato, Elizete C. Holanda, Flávio H. G. Rodrigues, Samuel Nienow, Benoit de Thoisy, Rodrigo A. F. Redondo, Fabrício R. Santos, A new species of tapir from the Amazon, Journal of Mammalogy, Volume 94, Issue 6, 16 December 2013, Pages 1331–1345 2024年11月16日閲覧


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