Trachurus japonicus (Temminck et Schelegel, 1844)
シイラやコバンザメと近縁だった?
一般的にアジと言えば本種のことを指します。体長は最大で50cm。日本で食用として多く流通している個体は30cmくらいのものがほとんどです。北海道から九州にかけての日本列島各地の他、朝鮮半島周辺から東シナ海にも分布しており、成体は水深200m以浅の中下層に大きな群れをつくり生息しています。
背側は緑暗色、腹側は銀白色、中間域は金色です。鰓部から尾鰭付け根にかけて湾曲した側線を持ち、側線は水圧、水流、水波の変化を感じる感覚器の役目があります。また尾鰭付け根にはゼイゴ(ゼンゴ)と呼ばれる棘状の鱗「稜鱗( りょうりん )」もあり、後ろから襲ってくる敵に対して防御するための武器で、アジだけが持ちます。
アジはサバ、イワシと並び日本の食卓で広く親しまれている青魚の代表的な存在です。縄文時代から食べられてきたことがわかっており、江戸時代の『魚鑑』(1831年)では、「鯵」の字は「シン」として訓読みされており、その後「味がいい」という意味から「あじ」と呼ばれるようになったのではないかと考えられます。
さてアジ科は魚類の最大勢力であるスズキ目に分類されていましたが、近年の分子系統解析による研究の結果、シイラ科やコバンザメ科、スギ科との近縁性が認められ、これらを含めたアジ目が新設することが提唱されています。

参考文献
釣太郎ホームページ | アジの構造について。ゼイゴは何のためにあるの?側線って?それぞれのヒレの役割を知っていますか? | (2024年2月16日) 2025年5月10日閲覧
東京都島しょ農林水産総合センター | 東京湾チング | アジのゼンゴ 2025年5月10日閲覧
epirecipe | コラム | マアジの歴史と文化:日本の食文化に深く根差した鰺の世界 | (2023年8月10日) 2025年5月10日閲覧
日本educe食育総合研究所 | ニュース | 味がよいから…旬の鯵を堪能しよう! | (2019年5月22日) 2025年5月10日閲覧
TSURINEWS | ちょっと意外な魚類分類学の今「カサゴ目」が消滅して「アジ目」がメジャーに? | (2024年5月11日) 2025年5月10日閲覧