輸入禁止になった鼈甲の材料になるカメ
甲長70 – 90cm,体重120kgに達する大型のウミガメで、インド洋、大西洋、太平洋のサンゴ礁域に生息します。背甲の色彩は黄色で、黒褐色の斑紋が入ります。タカの嘴のような湾曲したクチバシを持っていることが英名の由来です。ちなみに沖縄ではクチバシがカラス(ガラサー)に似ているため、「ガラサーガーミー」と呼ばれています。
日本では鼈甲(べっこう)細工の原材料として有名ですが、鼈甲の歴史は古く紀元前の中国やエジプトにはすでにあったそうです。中国で鼈甲加工技術は発達し、日本で初めて入ってきたのは飛鳥・奈良時代と言われています。奈良の正倉院には一部にタイマイの甲羅を使った琵琶が残されています。江戸時代においてはかんざしや櫛などの工芸品に使われるようになり、最高に価値があるものとして流行しました。20世紀において日本はタイマイの最大の輸入国でしたが乱獲による絶滅が危惧され、ワシントン条約により、1994年に輸入禁止となりました。
ではなぜ鼈甲の材料はタイマイに限られるのでしょうか。鼈甲細工は薄い板状の甲羅同士を圧着して貼り合わせていきますが、他の材料だと貼り合わせがうまく行かないようです、アオウミガメとタイマイを掛け合わせた細工もありますが、貼り合わせの付きが悪いということでタイマイが使われるそうです。
参考文献
美ら海水族館 | 美ら海生き物図鑑 | タイマイ 2024年7月28日閲覧
日本の伝統工芸品 総合サイト | 江戸べっ甲 ― Edo Tortoiseshell ― 2024年7月28日閲覧
台東区文化探訪アーカイブス | 江戸べっ甲師 田中 淳功さん 「継承百年 伝えたい魅力と想い」 | (2014年2月21日) 2024年7月28日閲覧