メスだけで増殖するクローンフナ

全長約25cm。東アジアに分布するコイ科の淡水魚で真鮒(マブナ)とも呼ばれています。日本では北海道から沖縄まで全国に広く分布し、他の魚類が生息していないような汚濁した水質の河川にも生息しており、雑食性であり繁殖力が強い魚です。

他種フナの染色体数が100(2倍体)あるのに対してギンブナは150(3倍体)あり、通常3倍体であると子を産むことができないのですが、ギンブナは雌性発生という特殊な発生を行っているのです。

通常はメスの受精卵にオスの精子が結合して受精となりオスの遺伝子を取り入れるのですが、ギンブナの場合は受精卵にきっかけを与えるだけの受精でオスの遺伝子は引き継がれません。きっかけを与えるのは他魚種のオス(ウグイ,ドジョウ,コイなど)の精子であってもよく、雑種が生まれることなく、メスは自らの遺伝子をそのまま受け継ぐ子孫(クローン)を残して行きます。その結果ギンブナはメスばかりで、関東地方のギンブナにはメスしかいません。

しかし全てのギンブナが無性生殖をしているのではなく、稀に2倍体の他種フナと有性生殖を行い、交雑・生殖することで高い遺伝的多様性を獲得し、維持していることが最近の研究でわかりました。クローン繁殖でありながら高い遺伝的多様性をもつギンブナは新たな性のあり方を示す存在として注目されています。

金魚の祖先となったフナの仲間ギンブナ

参考文献

北海道開発局 | 十勝の川の生き物たち 十勝の川生物図鑑 | ギンブナ 2024年11月4日閲覧

WEB魚図鑑 | ギンブナ 2024年11月4日閲覧

佐賀の自然デジタル大百科事典 | ギンブナ 2024年11月4日閲覧

東京ズーネット | ニュース | クローンで増えるギンブナ | (2018年5月18日) 2024年11月4日閲覧

三品 達平, 他「クローン繁殖フナは稀に有性⽣殖をしながら繁栄 ―遺伝的に多様なクローンフナが存在する謎を解明― 」(2021年11月19日) 京都大学 2024年11月4日閲覧


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