キツネの放し飼いで絶滅の危機に
体長60 – 70cm。アリューシャン列島や千島列島の険しい島で営巣・繁殖する小型のガンです。北米大陸北部で広く繁殖するカナダガンの一亜種とされていましたが、近年では別種とされています。黒い首と白い頬が特徴で、シジュウカラのように頬に白い紋様があることが、その名の由来です。
日本には越冬のため飛来しており、東北や関東を中心とする日本の空で多く見られていましたが、1938年ころに急激に減少し、渡りが途絶えてしまいました。これはシジュウカラガンの繁殖する多くの島に毛皮をとる目的でアカギツネやホッキョクギツネが持ち込まれたことが原因と考えられています。現在ではキツネがいないことが確認された千島列島のエカルマ島で放鳥するなどの繁殖活動を行っています。今なお絶滅危惧IA類 (CR)に指定されていますが、国内では仙台市八木山動物公園で野生シジュウカラガン羽数回復事業を行うなど、国内外で懸命な努力が続けられ、その結果、個体数は回復しつつあります。
参考文献
森と水の郷あきた | 野鳥シリーズ22 シジュウカラガン 2024年11月23日閲覧
山階鳥類研究所 | 鳥類標識調査 | 絶滅から復活した絶滅危惧種シジュウカラガンの渡り経路と繁殖地を初めて明らかにしました | (2023年8月28日) 2024年11月23日閲覧
BirdLife International. 2021. Branta hutchinsii. The IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T22733619A139214707. 2024年11月23日閲覧
八木山動物公園 | 野生シジュウカラガンの羽数回復事業 | 仙台市八木山動物公園における野生シジュウカラガン羽数回復事業について | (2024年6月27日) 2024年11月23日閲覧
仙台・宮城ミュージアムアライアンス | 野生シジュウカラガンの羽数回復事業をご存知でしょうか? | (2010年4月6日) 2024年11月23日閲覧
「シジュウカラガン回復事業の理解のために」(2018年8月31日) 化女沼観光資料館 日本雁を保護する会 2024年11月23日閲覧