Canthigaster valentini (Bleeker, 1853)
進化を遂げたフグ目の魚たち
体長10cm。紅海を含むインド太平洋に熱帯・亜熱帯域に広く分布するフグです。体色は白色の背景色に黄褐色の斑点、背中に暗色の横帯が4本あります。また、尾鰭は黄色で目の周りに虹色の縞模様があります。フグ科なので毒を持ちますが、毒を持たないノコギリハギ Paraluteres prionurus が食べられないように本種に擬態しています。
同じフグ目であっても、シマキンチャクフグはフグ科、ノコギリハギはカワハギ科に属しており、フグ科の魚のほとんどはテトロドトキシンという毒を持ちます。では、カワハギの仲間は毒を持たないのか?と思われるかもしれませんが、実はテトロドトキシンよりも強力な毒であるパリトキシンを持つソウシハギがいます。
フグ、カワハギ、マンボウを含むフグ目は魚類の中で最も進化したグループと言われています。鱗が変化した棘を体中に持つハリセンボン類や尾鰭がないマンボウ類、鱗が殻に変形したハコフグ類、腹鰭が対ではなく単一なモンガラカワハギ類など、形態的にも実に多様です。進化する魚の最前線がこれらの魚です。

Valentin’s sharpnose puffer and a false puffer passing above it
参考文献
国立科学博物館 | 動物研究部「私の研究」| マンボウとその仲間たち – ふぐ目魚類の分類 – 松浦 啓一 2025年5月4日閲覧
“Valentin’s sharpnose puffer” ANIMALIA. 2025年5月4日閲覧
山野上 祐介「フグ目魚類の多様性と系統,そして分類」(第12回日本動物分類学会奨励賞受賞記念論文), タクサ:日本動物分類学会誌, 2015, 39 巻, p. 1-16. 2025年5月4日閲覧