Chelonia mydas (Linnaeus, 1758)
アオウミガメはどこが青い?
甲長約110cm、体重約150kgになります。世界中の熱帯・亜熱帯海域に分布しており、沿岸域に生息するウミガメとしては最もよく見られる種です。日本では小笠原諸島や南西諸島が産卵場所となっています。
かつては食用として捕獲されることが多かったのですが、人がウミガメを食べなくなり、また天敵であるサメが駆除されるようになったため、ここ10年間では増加傾向にあります。個体数が増えると別の問題が出てきます。アオウミガメは草食性であり、個体数が増えると海草が減少し、海洋生態系に影響を及ぼすのです。また漁網が食いちぎられたり、その地域の漁業にも影響を与えることもあります。アオウミガメは国際自然保護連合(IUCN)や環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されており、保護の対象になっていますが、利用と保護のバランスが必要なのかもしれません。
ところで、アオウミガメの甲羅は青というよりも赤褐色に近く、同じウミガメ科のアカウミガメの甲羅よりも赤っぽい色をしています。実は名前の由来は甲羅の色ではなく、体の中にある体脂肪が緑っぽい色をしていることから名付けられたようです。緑っぽい色は草食性であることが影響しています。ちなみにアカウミガメの体脂肪は黄色っぽい色をしていて、貝類や甲殻類を好んで食べるそうです。
ウミガメには青、赤の他に黒もあります。アラスカからチリ沿岸にかけての東太平洋に生息するクロウミガメは全体的に黒い体色以外の特徴はアオウミガメに酷似しており、独立種とするかアオウミガメの亜種とするかで議論されています。
さて、アオウミガメをよく観察してみると各肢に一本づつ爪が生えているのが分かります。何のために使うのでしょうか。それは交尾の際にオスがメスの甲羅に爪を引っ掛けるためにあるようです。ヒレ状に変化したオールのような四肢ですが、骨格を見ると五本指があり、いちばん内側の第1指(人間でいう親指)に爪が存在します。
参考文献
黒島研究所 | 増えるアオウミガメ 2025年1月5日閲覧
東京都島しょ農林水産総合センター | 伊豆・小笠原諸島の魚 | アオウミガメ 2025年1月5日閲覧
TBS NEWS DIG |「すごい被害、ウミガメは増えすぎ」漁業者の嘆き “久米島ウミガメ大量死” 保護と被害の狭間でー | (2022年7月22日) 2025年1月5日閲覧
海響館 | 海響館の生き物紹介 | 赤?それとも青? 2025年1月5日閲覧
ナショナルジオグラフィック | 動物大図鑑 | アオウミガメ 2025年1月5日閲覧