三大陸に君臨した百獣の王

体長1.6 – 2.5m、尾長0.8 – 1m、体重150 – 260kg。アフリカとインドの一部の草原やまばらな林に生息します。ネコ科で唯一群れをつくり、その群れは「プライド」と呼ばれ、1〜3頭のオスと数頭のメス、その子どもたちの10〜30頭ほどでくらしています。

ライオンはインドライオンもアフリカのライオンも同じ種ですが、系統的に赤道付近を境目に北ライオン(Panthera leo leo)と南ライオン(Panthera leo melanochaita)2つの亜種に分けられています。北ライオンはインドライオンと中央アフリカの西部と北部のライオンの個体数が含まれ、絶滅したバーバリーライオンも含みます。南ライオンには東アフリカと南部アフリカの個体が含まれ、絶滅したケープライオンも含みます。

時代を更新世後期にまで遡ると、ライオンはDNA レベルの差異にもとづいて 大きく3つの系統に分かれます。まず現生ライオンの系統はアフリカを中心にアラビア半島からインドに至るまで広く分布していました。次にホラアナライオンはユーラシアや当時は陸で繋がっていたカムチャッカ半島からアラスカにかけて分布していました。最後に北アメリカに分布していたのがアメリカライオンと呼ばれる種です。ホラアナライオンとアメリカライオンは寒冷地に行くほど身体は大きくなるというベルグマンの法則に従い、現生ライオンの1.2倍もの体格だったようです。しかしその2種とも最終氷期(およそ7万年前から1万年前)に絶滅しています。かつては3大陸にまたがり食物連鎖の頂点として君臨したライオンですがホモサピエンスの繁栄と反比例するように生息域と個体数を減らし続け、今ではIUCNのレッドリストにおいて、絶滅危惧種として指定されるまでに至っています。

群れで狩を行うライオン
横向きのライオン

参考文献

「ライオンの栄枯盛衰 その進化史的視点から」| 山口誠之(カタール大学 生物環境科学科)| JWCS 会報 No.65 2012 年 3 月 2024年6月23日閲覧

ナショナルジオグラフィック | 動物大図鑑 | インドライオン | (2014年12月1日) 2014年6月23日閲覧

The Quaternary lions of Ukraine and a trend of decreasing size in Panthera spelaea. Adrian Marciszak, Dmitry V. Ivanoff, Yuriy A. Semenov, Sahra Talamo. November 2022. Journal of Mammalian Evolution 30(4) 2024年6月23日閲覧


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