北極の氷が解けはじめた時、ホッキョクグマは
北アメリカ大陸北部、ユーラシア大陸北部、北極圏に分布します。体長オス200 – 250cm、メス180 – 200cm。体重オス340 – 650kg、メス150 – 250kg。他種のクマと比較すると頭部は小さいが、長い首を持ち、泳ぐのに適した体型となっています。足裏の肉球を除いた全身が体毛で被われていますが、体毛は白と言うよりも半透明で中が空洞になっていて、光を通し断熱効果があります。また皮膚は熱をよく吸収できるように黒色です。
クマ科の中では肉食傾向が強く、捕食するほとんどがワモンアザラシです。主に狙うのは幼体ですが、自分よりも大きいセイウチも襲うこともあります。400 kgの雄の個体の体重を維持するには1日に12,000kcalを必要とし、これには1週間でアザラシ1頭の捕食を必要とします。
しかし近年、生息域である北極圏で急激な変化が起きています。気候変動の影響で海氷が溶け、北極の海氷がどんどん後退しているのです。人工衛星からの記録によると北極圏の1年以上解けずに残っている海氷は1970年から10年ごとに13%ずつ減っているそうです。海氷が減少したことでホッキョクグマはアザラシを狩るのが難しくななっています。アザラシを捕まえるために遠くまで行かなければならず、より多くのエネルギーを消費してしまいます。1984年から2009年までの25年間で、オスの平均体重が45 kg、メスの平均体重が31 kg減少しているそうです。
同じく大型のクマであるヒグマとの関係ですが、100万年以上前にヒグマとホッキョクグマの共通の祖先から枝分かれしたと考えられています。それぞれの生息地は分かれていましたが、ホッキョクグマは獲物を求めて南下したことで、ヒグマとの生息域が重なってきています。その結果、2種の交配が進みハイブリット種が生まれてきています。また獲物を巡っての争いではヒグマに分があると見られ、ホッキョクグマは2100年までに絶滅するのではないかと言われています。
参考文献
ナショナルジオグラフィック | 極北のサファリ:チャーチル | (2022年1月31日) 2024年8月12日閲覧
BBC NEWS JAPAN | ホッキョクグマ、2100年までに絶滅の恐れ 気候変動で | (2020年7月21日) 2024年8月12日閲覧