ニホンイシガメ Japanese pond turtle


浮世絵のカメはどうして吊るされているの?

日本固有種で関東以南の本州、四国、九州に分布します。最大甲長はオス14.5cm、メス21cmでメスの方が大きくなります。近年は外来種であるミシシッピアカミミガメやクサガメの増加、アライグマによる食害、環境の変化等により個体数が減少しており、環境省のレッドデータリストに準絶滅危惧種として指定されています。かつては祭りや縁日で

ゼニガメとも呼ばれる幼体は黄褐色で円形に近い形をしており、成体になるにつれて体色が濃くなります。ゼニガメの名前の由来は江戸時代の硬貨「銭」に似ていることからですが、カメは古来より長寿や財、銭の象徴として大事にされてきました。江戸時代、歌川広重の「名所江戸百景 深川万年橋」にもニホンイシガメが描かれています。紐で吊るされたカメは放生会で売られる「放し亀」です。放生会は本来は仏教的な儀式で、不殺生の精神から、あらゆる生き物の霊を慰めて感謝の気持ちを捧げる行事です。カメは購入した人が川に離すと人間として功徳を積むことになり、商売繁盛・家内安全につながると考えられていました。江戸時代の庶民にとって、ニホンイシガメは身近な存在だったようです。

泳ぐニホンイシガメ
歌川広重の版画に描かれたニホンイシガメ

参考文献

withnews | 話題 | 準絶滅危惧種ニホンイシガメとは?保全活動10年続ける水族館に聞く | (2024年9月21日) 2024年11月23日閲覧

BuNa | 追いやられ、傷つけられる……新たなニホンイシガメの危機とは | (2018年8月23日) 2024年11月23日閲覧

nippon.com | 『深川萬年橋』:浮世写真家 喜千也の「名所江戸百景」第43回 | (2019年8月3日) 2024年11月23日閲覧

クリナップ | 江戸散策 | 第62回 放生会は、生き物を放してやる行事。 2024年11月23日閲覧


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