是非が問われるカンガルー駆除
体長約1 – 1.4m、尾長0.8 – 1m、体高約1.5m のオーストラリア東部に生息する大型のカンガルーです。体色は灰色でかつてはハイイロカンガルーと呼ばれていました。体格はアカカンガルーに次ぐ大きさです。
動物園で目にするカンガルーは寝ていることが多いですが、実はほとんどのカンガルーが夜行性です。夕方や明け方の時間帯になると草などの餌を食べるため活発になります。これは暑い日中を避けて行動していると考えられます。
カンガルーの生息数はオーストラリア人口の2倍を上回る5000万頭と推定されており、農作物に被害を及ぼす害獣でもあります。また年間2万件ある動物との接触事故のうち8割がカンガルーということで、重要な観光資源でありながら、住民にとって困った存在でもあります。
そこでオーストラリア政府は単に駆除するだけでなく食肉や皮革製品などに利用することで地方経済の振興にも役立てています。
カンガルー肉は栄養豊富で味にクセがなく、さまざまな香辛料や調味料になじみやすく、さっぱりとした食感が特徴です。皮革は軽くて強靭なためスポーツシューズなどに利用されます。また意外なところで、カンガルー革は三味線の胴皮として利用されることもあります。三味線の胴皮は伝統的に犬猫の皮が使われてきました。しかし動物愛護の立場から入手も困難になり、代わりとなる様々な皮が検討されましたが、カンガルーの皮革が実用となるレベルに至ったようです。
現在カンガルー駆除の是非については、保護の立場の意見が強くなっています。アメリカの一部の州ではカンガルー肉、製品の輸入を禁ずる法案が可決され、スポーツシューズメーカーもカンガルー革の使用を取りやめる動きが出ています。
参考文献
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海の中道海浜公園 | ブログ | カンガルーのヒミツ | (2023年4月6日) 2024年10月13日閲覧
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長崎バイオパーク | 動物図鑑 | オオカンガルー 2024年10月13日閲覧
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和ものびと | 三味線界のNew Wave!「第三の皮」| 小川 政己 2024年10月13日閲覧
クーリエ・ジャポン | カンガルー猟は「野生動物の殺戮」か、「過疎の街を救う産業」か | (2021年6月5日) 2024年10月13日閲覧
ナショナルジオグラフィック | ニュース | 年間140万頭、豪のカンガルー猟は是か非か | (2017年11月26日) 2024年10月13日閲覧