イノシシとの違いはどこにある?
北アメリカ南部から南アメリカパタゴニア南部にかけて分布しています。乾燥した低木地帯から湿気の多い熱帯雨林まで、多くの生息地で見られます。体長75 – 100cm、体高約46cm、尾長1.5 – 5.5cm、平均体重約14 – 18kg、ペッカリー科現生3種の中では最も小型となります。体毛は暗灰色で、喉元には白からやや黄色みがかった首輪状の帯があるのが特徴です。
ペッカリーはイノシシと似ていますが、足の肢端形状に違いがあります。 ペッカリーの指は2本なのに対して、イノシシは4本となっています。指が少ないことで、より走行に適した形態となっています。また犬歯である牙の形状も違います。イノシシの牙は下顎にあり、長く外側に曲がっていますが、ペッカリーの牙は短くまっすぐな牙が上下にあり、互いに絡み合って顎の左右の動きを妨げています。ペッカリーは牙をこすり合わせることで、カチャカチャという音を出し捕食者に近寄らないように警告します。また背中に油状の分泌物を出す腺をもっており、それを「へそ」に見立てて、「ヘソイノシシ」という名前で呼ばれることもあります。分泌物は独自の臭いを放つことで、仲間同士の意思疎通を図るとされています。
ペッカリーの皮革は高級品として知られています。ただしペッカリーはワシントン条約の対象種として保護されていますので、自給自足の狩猟に由来する皮革のみ流通しています。その皮革はとても柔らかく、水汚れに強く、光沢があるので、手袋などに利用されます。
参考文献
ナショナルジオグラフィック | 動物大図鑑 | クビワペッカリー | (2023年11月23日) 2024年7月20日閲覧
ガジェット通信 | 【ペッカリー】ヘソイノシシとも呼ばれる、南北アメリカ大陸のイノシシに似た動物 | (2021年1月7日) 2024年7月20日閲覧
東京大学総合研究博物館 | 標本は語る | 大場秀章 編 | 第2部 展示解説 動物界 | 哺乳類の多様性と標本から読み取ること | (2004) 2024年7月20日閲覧
真下商事株式会社 | MATERIAL | ペッカリー革について 2024年7月20日閲覧