Pterophyllum scalare (Schultze, 1823)
ドイツから始まった観賞魚への道のり
南アメリカ・アマゾン川水系原産の淡水魚で、全長12 – 15cmほどで、平たく、ヒレの端部が長く発達しています。熱帯魚の代名詞的存在であり、名前の由来は大きなヒレでゆったりと泳ぐ様が天使に似ているところからつけられました。観賞魚として品種改良が進み、体色の変化やヒレを長く発達させたりしています。気性が荒いシグリット属の中では比較的穏やかで、飼育は容易です。ちなみに英名のAngelfishは海洋魚であるキンチャクダイ類のことも指します。
現生のエンゼルフィッシュは3種類に分けられます。最もポピュラーなエンゼルフィッシュ「スカラレ種」、プロポーションの良さと大きく成長する事で人気のある「アルタム種」、そして顔付きが丸っぽい「デュメリリィ種」の3つです。その中で「スカラレ種」は全ての改良品種の元となっており、流通している約95%は本種の養殖された個体です。
1823年にドイツ人動物学者ハインリヒ・カール・リヒテンシュタインによって新種として記載され、ヨーロッパに最初に持ち込まれたのはドイツのハンブルグで、1909年のことでした。1915年にはドイツからアメリカ合衆国に渡りましたが、当時は富裕層向けの高級観賞魚でした。ペンシルバニア州で繁殖に成功してからは価格は下がり愛好者は世界中に広まりました。2022年にはカリフォルニア州の高校生が死んだペットのエンゼルフィッシュを用いてゲノム解読に成功して、約200年の時を経てエンゼルフィッシュは遺伝子構造や遺伝的特徴、遺伝性疾患や病気のリスクなどを知ることが可能となりました。

参考文献
Psaradelis, Sarah (2024, August 12). “9 Amazing Facts About Angelfish: Species, Lifespan & More”. Pango Vet. 2024年9月16日閲覧
Pet Pedia | カラフルな人気熱帯魚、エンゼルフィッシュの魅力と飼い方 2024年9月16日閲覧
エンゼルフィッシュ.jp | 飼育マニュアル | 第1章 エンゼルフィッシュってどんな魚? 2024年9月16日閲覧
“Angel fish history” USA FishBox. (2011,January 20) 2025年5月25日閲覧
“High school student is first to sequence the angelfish genome” New Scientist. (2022,October 21) 2025年5月25日閲覧